「模倣犯」／宮部みゆき

模倣犯1 (新潮文庫)

やっと読み終わりました。4巻に入ってから数か月読んでなかったからなぁ(笑)　読み返しつつ最後は一気に読みました。
以下内容に触れています。
最後はピースあっけなかったように思います。確かにピースは頭いいんですけど、周りの人を低く見すぎていた。ピースと接した人々がそれぞれの視点で徐々に核心に迫っていくのが気持ちよかったです。「模倣犯」のタイトルもなるほどという感じで、この言葉がピースにとってどれだけ屈辱的な言葉だったか最後の場面が物語っていました。「自分ただ一人が作りあげることのできた世界」というものがなによりも重要なことだったんでしょうね。
この物語にはたくさんの登場人物が出てきます。事件と一見何も関わりあいがなくても影響をうけている人は数知れない。それは事件が「報道」されるからでもあって、物語で描かれる事件にマスコミが巻きこまれるのはそういう部分を分かりやすくするためでもあるのかなと思いました。事件がいろいろな形で日常に入り込んでくる様子がとても表現されていてよかったです。
この物語は事件が生んだどうしようもないやるせなさと、それでも生きていく強さを感じさせるエピソードで終わっています。私も日本を驚かせるような事件が身近で起こったことがありました。「こんなところでこんなことが起こるもんなのか？」普通に生きているだけなのにその人生が突然理不尽に壊されることもある。それをまざまざと突きつけられたことをこの物語を読んで思い出しました。読み終わっても分からないことだらけですけど、最後に心に残った思いは「何が起こったとしても生きていくしかない。そしてそれは一人ではできないし、誰しも「一人」ということはない」ということです。

長いだけに読みかえしたらまたいろいろな発見があって面白そうですが、今はそんな気になれないな(笑)