低空飛コウ

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【感想】「道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48」を観ました。

「道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48」を観てきました。

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NMBのことを全く知らない監督の作品であることや完成披露試写会後の評判があまり良くなかったこともあって観る前はちょっと不安がありました。


でも舩橋淳監督のインタビュー
舞台裏のプロフェッショナル「道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48」舩橋淳監督 | HUSTLE PRESS OFFICIAL WEB SITE
を読んで監督のメンバーに対する愛情や映画のスタンスを理解した上で観ることができたので、この映画に対して否定的にならずに済んだと思います。


客観的にNMB48を切り取ってはいるけれどあくまでもメンバーやスタッフ、ファンの気持ちに寄り添っていると感じたし、アイドルであることの辛さよりもNMBらしいメンバーの強さが印象に残る描き方が好きでした。アイドルとしての競争や自分と向き合わなければいけない精神的なキツさは描かれているけれど、AKBとかのドキュメンタリーのイメージでよくある身体的なキツさはほとんど描かれていなくて。幅広い人に見てもらいやすいと思います。


舞台挨拶でこの映画が香港国際映画祭に出品されることが発表されたのですが、映画のつくりを見ても最初からそれが想定されていたことが分かります。アイドルを知らない人が見ても日本におけるアイドルの世界が分かる、NMB48というグループの概要が分かる、そういう映画です。だから今までの48Gのドキュメンタリーと同じ括りで観ると「残念」という感想になるのかも。でもこの映画はNMBでなければならなかったとも感じます。確かにファンからすると知っている情報ばかりなので物足りない部分もあるのですが、ファンだからこそ知っているNMB48の魅力も映像の中にちゃんと散りばめられていたので、監督自身のNMB48の捉え方はずれていないと感じました。


だからこそこの映画をいろんな人に観てもらいたい!NMB48というグループに興味を持ってライブとかを見てもっと好きになってほしい!そこにはアイドルであるメンバーたちの輝きが詰まっていると自信をもっておすすめできます!



2015年公開予定 「DOCUMENTARY of NMB48」
NMB48のライブ映像がちょっと見れます。ドキュメンタリー映画がつくられるという告知映像なので公開された映画とはギャップがあるのですが…(笑) ザッとNMBの雰囲気がつかめるかと思います。


Must be now (限定盤Type-A)

Must be now (限定盤Type-A)

Must be now (限定盤Type-B)

Must be now (限定盤Type-B)

昨年発売されたシングルですが、特典DVDで映画にも出てくる昨年2月の日本武道館ライブが見れます。


では、ここからはネタバレも含みつつ感想を書きます。

この映画がNMB48を題材につくられた理由

先程、映画の情報としてはファンからすると知っていることがほとんどと言いましたが、言ってしまえばこの1年のドキュメンタリーです。本当に監督がこの1年間のNMBを見て感じたことと、その背景には何があったのかを辿っている映画です。だからNMB48というグループがどのような状況で生まれたのか、総選挙や握手会とはどういうものか、序列が持つ意味など全くグループのことを知らない人でも分かりやすいつくりになっていました。


正直そういうことは前提として、グループの結成からこれまでの間に起こった出来事の裏側には何があったのかとかメンバーの素の表情や関係性をもっと見たい!ていうかさやみるがイチャイチャしてるのとか見たい!…というのが本音ではあるのですが、最初に舩橋淳監督を選んだ時点でこう描くことが狙いだったと言えると思います。

――まずは監督を任されることになったきっかけから教えてください。


舩橋「秋元康さんが『ハードなドキュメンタリーをやっている監督を探している』ということで、僕に白羽の矢が立ったようです。僕としてはプロフィールをお渡ししただけだったので、実際にどういう選考が行われたかということまではわかりません」。


舞台裏のプロフェッショナル「道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48」舩橋淳監督 | HUSTLE PRESS より


では、なぜそういうハードなドキュメンタリーをNMB48で撮りたかったのかを考えると、この映画がNMB48でなければならなかった理由やNMB48というグループの魅力がより見えてくる気がしました。もちろん「大阪」のイメージを強調するため、同時公開された指原莉乃監督によるHKT48ドキュメンタリーと分かりやすく対比させるためということはあると思いますがそれだけではないんじゃないかなと。


NMB48というグループは映画の中で描かれているように48Gの中では総選挙が弱かったりして下に見られることもあるのですが、私はグループとしては一番完成度が高いと思っています。それは何が起こってもまずは受け入れて笑顔で良い方向に進むように考えることができるメンバーの精神的な強さであったり、大人数でいろいろな立場のメンバーがいる中でも「てっぺんを目指す」という目標を共有できている結束力であったり、細部にまでこだわった表現力の高いパフォーマンスであったり…。何よりメンバー自身がこのNMBの強みを自覚していてグループに自信を持っているということが一番の魅力だと思います。だからステージで見せる姿に迷いがないし、観客はただただ安心して楽しむことができるのです。


つまり、初めてアイドルの世界を見た人がまず驚くであろうアイドルとしての影を見せたとしても、そんなことは百も承知で輝いているNMB48というグループの光の方が印象に残るという計算があったのではないか。影の部分に注目されようとブレずに存在できるグループだからではないか*1。そして、幅広い層の鑑賞に堪えうるパフォーマンスをしているグループだからではないかと思うのです。


この映画が香港国際映画祭に出品されるということは世界中の人に観てもらえるということです。メンバーは常々NMB48というグループに自信を持った上で、もっとたくさんの人にNMB48を知ってもらいたい、NMB48を好きになってもらいたい、NMB48が一番のアイドルグループになりたいと言っていますが、その目標のためにはこういう映画でよかったんじゃないかなと思っています。

映画に散りばめられたNMB48の魅力

映画の中で詳しく焦点が当てられていなくても、私の好きなNMB48の魅力が映し出されている映像も結構使われていました。


まず一番最初に映し出される昨年2月に行われた日本武道館での『カモネギックス』!汗だくで髪が乱れていてもまっすぐ前を向いてバシバシかっこよく踊るメンバーの迫力に圧倒されます。始まった瞬間ライブ行きたい!ってなりました。ライブ映像やMVをスクリーンで観れるのたまりませんね。


パフォーマンスに対するこだわりの面では、AKIRA先生が毎回公演の後に行われる反省会で思っていたよりもすごく細かくフリの意識まで指導していたり、『ニーチェ先輩』でセンターを務める須藤凜々花さんに対してどういう気持ちで踊っていたかを見抜いて気合を入れるところがあったり。やっぱりここまでしてるからああいうパフォーマンスができるんだよなぁと納得しました。厳しいけどちゃんとあったかいAKIRA先生が好きです。そして泣き出してしまったりりぽんに声をかけるわけではないけどしっかり寄り添ってあげる木下春奈さんにもキュンとしてました!


あとは「俺ら」がお互いをディスリあう場面でのそういうことを言っても何の問題もないメンバー間の信頼の深さとか、チームMの奔放さとか、『ドリアン少年』MV撮影での薮下柊さんや渋谷凪咲さんのいい意味でのゆるさ、先輩後輩の距離感の近さとか。ほんとNMBはメンバーの懐が深くて安心感があるんですよね。

メンバーの描き方

この映画では数人のメンバーが特に取り上げられていますが、その背景にはそれぞれ同じような境遇のメンバーがいるということは示されていたと思うし、あくまでも家族やファンも含めてNMB48というグループ全体を描こうとしていたと思います。まぁ、分かりやすくするためにちょっと違和感を感じるイメージの植えつけはありましたが。山本彩さんと沖田彩華さん、矢倉楓子さんと白間美瑠さんなど対比させて見せてはいたけど、どちらがすごいということはなくどちらの魅力もきちんと見せていました。


そして、この映画のキーパーソンである沖田彩華さんの描かれ方についてはちょっと複雑な気分になりました。今まで選抜に選ばれていないけど、劇場や握手会で活躍しているメンバーに焦点を当てるのは当然だなと思っていましたが、映画の最後であーぽんがスポットライトを浴びるメンバーに選ばれたのにはもう1つ「男問題を抱えていたから」という理由があったことが示されます。金子支配人の様子を見てもこの問題自体が事実であったことは分かるのですが…。「男関係がしっかりしていないと選抜には入れない」ということを対外的に見せつけるために利用していると不快感を覚える人も多いんじゃないかなぁ。1つの物語の帰着点として長年選抜に入れなかったメンバーが選抜に入るというのはいいと思うし、もちろんあーぽんや運営を責めるつもりもないんですけどね*2


とはいえ、最初から最後までずっと泣きそうになるのを堪えながら観ていました。一番危なかったのはさや姉が総選挙の速報結果を見て泣き出してしまった場面。この場面は知っていたけど当時ちゃんと映像では見ていなかったので、さや姉のNMBやメンバーに対する想いの強さとか何とか場を明るく保とうとする岸野里香さんをはじめとした周りのメンバーのフォローに胸が締めつけられてしまいました。やっぱいいグループだよなぁ。


一番最後の卒業生・河野早紀さんの言葉もとてもよかったです*3。「努力は積み重なっていく」例えアイドルとして成功しなかったとしてもそこでしていた努力が間違いだったわけじゃないし、これからの人生で必ず活きてくる。卒業生を紹介するときに必ず次に何を目指すのかも書いてあって、卒業がちゃんNMBの活動の中で自分と向き合って考えた結果であることが示されていました。NMBらしい明るさで映画が締めくくられたことはとてもうれしかったです。

最後に

字幕のダサさとか映画の合間合間でりりぽんが朗読する詩のセンスとか*4ファンの顔はそんなに見たくないとか他にも気になる部分はありますが、映画の出来としてはとてもよかったと思うし、紅白から引き続いてこの映画でもNMB48が少しでも多くの人の目にとまってくれることを心から願っています。そしてNMB48にもっともっと売れてほしい!NMB48大好きだよ!

*1:これは去年の紅白でも感じたことです。

*2:むしろ金子支配人のこともっと好きになりました!

*3:しかもさきぴかわいかった!いい顔してた!

*4:りりぽんの衣装とかスタイルはすごく白黒に映えてかっこよかった!