低空飛コウ

NMB48とか乃木坂46とかいろいろ。

「すべての犬は天国へ行く」 10月6日昼公演

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乃木坂46による舞台「すべての犬は天国へ行く」を観に行ってきました。

 

舞台を見るのは久々でしかも2~3回目、原作もよく知らない状態でしたが、観に行ってよかったなと思います。舞台の内容はシリアスコメディーということで、ちょっと受け入れられない部分もありつつ話自体は面白かったですし、構造的に極力分かりやすく伝えてくれていたので舞台観劇初心者の自分にはありがたかったです。映像作品と違って舞台では常に全体が見渡せることと、距離がある分表情が見えにくいということがあって、動作と声色が演技する上で非常に重要になってくるのだなと実感。

これまで好きな俳優さんが舞台に出るとなってもちょっと自分の中で観に行くハードルが高かったのですが、今回舞台ならではの面白さを知ることができてもっといろんな舞台を観る機会を増やしたいなと思いました。

 

乃木坂メンバーについてはみんな本人に合った役を演じていて、良さが出ていたと思います。ただ、前評判で結構期待値を上げて観に行ったということもあり、演技で言うと正直思っていたほどではなかったかなという印象です。先程言った個人的に受け入れられない部分から来るこの舞台への否定的な感情を吹き飛ばすくらいの狂気で圧倒してほしかった。シリアスに「コメディー」の要素が入っていたので難しいとは思うのですが。そういうことができるポテンシャルはみんな持っていると思うので、演劇に関する挑戦は続けてほしいです。

 

では、ここからはネタバレを含んだ感想を。

 

物語の舞台は殺し合いの果てに男が一人残らず死に絶えた西部の町の古びた居酒屋。町に残された女性たちの話です。事前情報でここまでは知っていたのですが、物語が進むにつれ、この前提が本当だったのかどうか分からなくなっていきます。というのも町の女性たちがみんな自分の旦那や父が生きているという体で話を進めていくからです。あまりにも長く続くのでどんどん自分自身を信じられなくなりました。でもやっぱり男はこの世にいないのです。みんなでこれまでいた世界に浸って心を安定させようとしている。舞台上にいる全員が最初から狂っていて抜け出せない状況になっている。そんな中に外から人がやってきてこの「安定した世界」を壊していきます。でも、この世界が壊れてしまうと彼女たち自身も崩れてしまう…ということで、そこからはもうみんなバンバン死んでいきます。

…この話の内容自体は分かるし、現実これに似た状況がよく起こっているということも実感としてあるのですが、職業柄というのかどうしても人の死に敏感になってしまって、「人が死んでいるのに」「自分が殺したのに」何事もなかったかのように過ごすということが芝居と分かっていても受け入れられなくて、笑える場面でもなかなか笑えませんでした。だからこそみんな本当に狂っていてほしかった。もうそんな感情など無駄な世界にこの人たちは生きているんだと思わせてほしかったのです。

客演女優さんの演技には狂気が宿っていて圧倒されました。特に東風万智子さんは真中瞳さん時代によくTVで見ていて出ていることも分かっていたのに、最後まで本人と役が一致しなかったので、すごい女優さんになったなぁと思います。

それにしても最後怖かったなー(笑)

 

乃木坂メンバーへの感想

 

物語の初めから登場するのですが、それはもうかわいらしい。知恵遅れという難しさがありつつ、生駒ちゃんの純粋さがいい方向に作用していました。初森べマーズを見ていて気になっていた滑舌も気にならなくてよかった。生の空気を感じることで輝きを増すタイプだと思うので舞台は合っているだろうな。持って生まれた存在感が凄まじいので、ここからどこまで伸びるのか。もっといろんな役で見てみたいですね。

 

登場から怒っていて、基本怒り口調の分かりやすく意地悪な役。でも唯一恋する女の子の一面を持っている役でもあるので、ちゃんとそこのかわいらしさを感じられてよかったです。今回見た中で一番印象に残ったメンバー。「じょしらく」でもそうだけど、すごく動き方を考えているというのが伝わってきたし、自分の好きな人に選んでもらえない嫉妬など微妙な感情もうまく表現していると思いました。それだけに最後の死ぬ場面はしっかり伊藤さんの演技を見たかったなと。演技自体の問題もあるのでしょうが、消化不良で終わってしまいましたね。

 

外の世界からやってきて「安定した世界」を壊していく重要な役です。その役を任されるだけあってうまく舞台を回していたとは思いますが、ポスターでの姿から一番期待していたメンバーだっただけに予想は超えてこなかったな…という印象でした。後半自分も町の闇に蝕まれているという陰の部分をもっと見せられるとよかったかなと思います。

 

町の憎めない不良ということで、斉藤さんの愛らしさがとても出ていましたね。演技という面では今回技量的に浮いてしまっていたなとは思うのですが、斉藤さんが持っている明るさや愛嬌はほかの7人にはない武器だと思います。いろんな経験をして感情の幅を広げたり、落ち着いて相手の話をしっかり聞くということを意識していくといいのかな。

 

登場シーンから舞台の雰囲気を持っていってくれましたね。キキが普段の桜井さんそのままというのは心配になりますが…(笑) 動きの華麗さといい、声といい、顔つきといい本当に舞台向きだと思います。今回の役に関しては男装して女性を誘惑するシーンがあるので、身長と経験不足な面は惜しいなぁと思いましたが、どんどん舞台に立ってほしい。今度歌も聴けるミュージカル「リボンの騎士」で観れるのが俄然楽しみになりました!

 

  • 新内眞衣さん(カトリーヌ/新聞配達の女役)

娼婦ということで、色気のある雰囲気はしっかり出ていましたね。ただ色っぽさを出すせいだとは思うのですが、声が細かったのが残念だなと。あと、町を出ていく時の若月さん演じるマリネと言い合う場面ではちょっと早口で感情がうまく乗っていなかった気がします。基本的には器用なタイプだと思うので、もっと演技仕事見たいですね。

 

何だかすっかりこういう愁いをまとった役柄をやらせるとものすごい魅力が出るようになりましたね。それが本当にいいことなのかは分からないけど…。松村さんが持っている幼さ、危うさが役柄にとても合っていました。そして、舞台に立つと美しさが際立つのは素晴らしい。これからどう進んでいくのか楽しみです。

 

 最初に舞台上で狂気をむき出しにする重要な役。メンバーの中でも舞台経験が豊富だし、コメディー部分と狂気を共存させるという意味では一番うまく演じていました。ただ、これは好みの問題も大きいと思うのですが、どうしても力が入りすぎている印象があって、もっと意識的に力が抜けるようになれればいいのになーとは思います。