低空飛コウ

好きなものいろいろ。

「しずく」/西加奈子

しずく (光文社文庫)

しずく (光文社文庫)

ラジオで花澤さんがおすすめしてた作家さん。
紹介してた本が見当たらなかったので、あった本を読んでみました。
女二人の物語がつまった短編集。どちらかの女性の語りで物語は進められます*1
最初の「ランドセル」を読んで、ちょっとダメかもと思いました。登場人物の語りがどうしても合わないのです。
たぶんすごく女性らしいから。すごく嫌な部分も隠さず自分の気持ちに正直に話すから。
自分がこういう部分に軽い嫌悪感すら覚えることに気付いた時は驚いたな…*2
それでも、最後の「シャワーキャップ」はすごく泣いてしまいました。
母と娘の話。娘は母に憧れと共に嫉妬を抱いている。状況は全然違うけどわかる気がしました。
娘が母にそんな感情をぶつけて取り繕った後の、無邪気な母の言葉がどうしようもなくまっすぐ響いてきて。
関係ないのにうれしくて満たされた気分になりました。
今回は登場人物が物語の印象を左右してしまったけど、どの話も後味は良かったです。
今度は紹介してた「きりこについて」読んでみようかな。

*1:あ、1作品は除く。

*2:だから主人公が自分に近い「影」は読みやすかった。